第12回路上観察学会分科会@集合住宅歴史館(UR機構/北八王子)を実施しました。

メンバー間で「団地博物館」と話題に上っていたUR機構の「集合住宅歴史館」をたずねました。この1年活動を続ける中で、「団地」という新興住宅地の中に生まれた「小さなまち」の歴史やコミュニティに注目が集まっていたこと、そして建築物としてもどこか舞台装置的な面白さや発見があり、ぜひ訪れてみようということになりました。
ここは独立行政法人都市再生機構が運営する「技術・コスト管理部技術管理分室」の中に存在します。集合住宅の歴史が学べるほか、内装や音響や防災などが目的別に建てられた施設の中で実験されています。
この歴史館は関東大震災の復興義捐金をもとに設立された「同潤会アパート」の歴史から始まります。平成のバブル期に姿を消すまで、表参道や大塚など東京の街に戦災を逃れた大正文化の面影を残し、路上観察者にとっても人気の集合住宅でした。そしてこの歴史館では取り壊しの際に移築された「代官山同潤会アパート」の一室からスタートします(筆者もテンションあがりました)。また日本を代表する建築家・前川國男が設計した「晴海高層アパート」の一室も移築されていて、昭和33年(57年前)の和風モダン建築は今でも住んでみたくなるデザインでした。廊下を「路地」と捉え直したコミュニティの生まれやすい設計は住人たちを緩やかにつなげ、現代の集合住宅にも積極的に取り入れたい考え方だと思いました。
実は隠れた人気の施設でなかなか予約が取りづらいですが、ご興味のある方は団体のホームページを検索してみてください。