「空耳図書館」に年齢制限はありません。

「よくきく」を合言葉に、
子どもから大人まで、アーティストといっしょに、
五感や身体やこころを使って本の世界を自由にあそぶ、
ちょっと不思議な読書会です。

 

            空耳図書館ディレクター:ササマユウコ


空耳質問箱♪

・空耳図書館はどこにあるのですか?

架空の図書館ですので建物は存在しません。忘れた頃にまちに出現しますから「どこにでもあります」とも言えます。本の貸出しはしていませんが、返却不要の時間をおとどけします。

・「空耳」にはどんな意味があるの?

例えば「クモの糸が切れる音」や「花がひらく音」をきいたことがありますか?その音は、どうやったらきくことができるのでしょう? 「本」の世界を旅することで、きこえない音をきいたり、見えないものの声をきいたりする「想像する耳」が生まれる瞬間を「ソラミミ」と呼んでいます。

・絵本の読書会なのですか?
絵本だけとは限りません。「この本おもしろいなあ、みんなに教えてあげたいなあ」と思ったらどんな「本」でも扱います。

・子ども対象なのですか?

子どもの心を持った大人、おとなの世界を知りたい子ども、すべてのひとを対象にしています。

・なぜ「きく」を大切にしているのですか?

ヒトはお母さんの子宮の中で「耳」がつくられた瞬間から世界の音をきいています。そして、その「音の記憶」はすべて脳に蓄積されていくといいます。この世に生まれ出た赤ちゃんも、話し始めるまでの約1年間を「きく」ことにあててコトバを蓄積しています。だから、赤ちゃんがいちばん最初にしゃべった「コトバ」は、もしかしたらその赤ちゃんが一年間でいちばん「きいていた」、もしくは「気に入っていた」コトバかもしれません。その人の「好きな音楽」や「好きな声」は耳の記憶が決めているのかもしれません。ちなみにうちの娘が最初に話したコトバは「いない いな~い」でした。(次が「お父さん」、「お母さん」は3番目でした 泣)。おとなたちも是非いちど「人生でいちばん最初にきいた音」を思い出してみてくださいね。

・音楽教育で見直されている「きく」ことの力

赤ちゃんがコトバを話すまでに1年間「きく」時間が必要なように、例えば音楽教育でもいきなり楽器で音を鳴らすのではなく、まずは「きく」ことから始める大切さが見直されています。そして音楽を学ぶことで気づく最も大切なことは、自分をとりまく世界の音風景はすべてが「オンガク」だということです。これは、カナダの作曲家M.シェーファーが40年前に提唱した「サウンドスケープ」という考え方です。調和の音楽を奏でている宇宙の星々。一方、人が暮らす街中は音があふれている。そもそも「オンガク」って何でしょう??ダンスは身体の音楽、絵本はコトバと絵の「オンガク」とも言えます。

・他者の声、世界の音に耳をひらく/耳をすます

音楽教育以外でも「きく力」を見直す動きが広がっています。特に、哲学や医療など「臨床」と呼ばれる他者(患者)と対峙する学問の世界です。もちろん普段の暮らしの中で「きく」に意識を向けると、さまざまな「変化」が生まれます。自分の考えを伝える力はもちろん大事ですが、そればかりでは「一方通行の関係性」に陥りがちです。世界中の人が耳を閉ざして自分の考えばかりを主張していたら、どのような社会になるでしょうか。「きく」ことには自分と違う考え方、つまりは他者を受け入れ、自分の世界を「やわらかく」広げる力を授けてくれます。その力は「思いやり」でもあります。もちろん何よりもまず、自分自身の心や体内(体調)の音をきくことに向けられないといけません。

 

 ・ちょっとだけ、本当の「耳」のおはなし。

「都合耳」という考え方

私は耳鼻科医ではありませんので専門的なことはわかりませんが、赤ちゃんがうるさい場所でも平気で眠れるのは、子宮内の音環境がノイズに包まれていたからだという「都合耳」という考え方があります。赤ちゃんの「心」や「脳」に焦点を当てた場合は一理ある考え方かもしれませんが、そもそも「人工(機械)の音」とお母さんの体内の「自然(人)の音」では音の質や音量が違います。もっと言えば胎児の世界は「羊水」に守られ、耳への音の伝わり方が基本的に違うのです。空気の振動をきいている赤ちゃんは、たとえ騒音で自分の耳が傷ついていたとしても、よほどの状態でない限り、本人、ましてや周囲も気づきにくいと考えます。大人たちも大音量のライブの後でしばらく耳が「聞こえづらく」なった経験はありませんか?コトバの話せない赤ちゃんが、あの感覚を知らせることができるでしょうか?

音は空気の振動として耳の鼓膜を揺らします。大きな音では当然、鼓膜も大きく揺れます。常日頃から鼓膜が大きな音で揺らされ続けていると、それに抵抗するように鼓膜が厚く固くなっていくといいます。中耳炎などで穴が開いた鼓膜が自然治癒した場合も同様です。つまり固く揺れづらくなった鼓膜は、繊細な音を聞き取る力が弱くなってしまうことは知っておきたいことです。

子どもだって 大人だって 「静かな時間」がほしい

最近、小学校に出かけると休み時間の校内放送がテーマパークやゲームセンターのような大音量で流されていて驚くことがあります。大げさではなく廊下での会話もままならないほどです。当然、休み時間明けの子どもたちは音で神経が高ぶり、落ち着くのにも時間がかかります。もともと聴覚が敏感な発達障害のお子さんは、学校の賑やかな音環境でヘトヘトに疲れているかもしれません。
スマホやゲームで使用するイヤフォンも耳の穴に直に音源を入れるのですから、鼓膜の負担は想像に難くありません。毎日使用する時間をきめて、大人たちが子どもの耳を守ってあげてくださいね。そして時には静かな時間をお子さんと一緒に過ごしてみてください。鳥の声をききながらお散歩したり、風の音に耳をかたむけたり。「きく」ことで見えてくる新しい世界、そして親子の関係性にも少し変化が生まれるかもしれません。