空耳図書館のはるやすみ2015 活動の記録②


(2015年3月27日)「空耳図書館 おやこのじかん」 和光大学ポプリホール鶴川(エクササイズルームにて)

 ぽかぽか春の陽気の中、初開催の「おやこのじかん」は当日も含めて総勢30名以上のみなさんに参加して頂きました。有名なオノマトペ絵本『もこもこもこ』(谷川俊太郎作 元永定正絵)や『もけらもけら』(山下洋輔作 元永定正絵)を、ダンサー・と音楽家が楽譜のように捉え直し、通常の読書会とはひと味違った「絵本を使ったオトとカラダあそび」の時間をつくってくれました。この日あそびに来てくれた橋本知久さん(音楽家)、外山晴菜さん(ダンサー)のおふたりは、実は今回が初顔合わせ。一冊の絵本から得たインスピレーションを、ダンス、音楽(オト)、演劇(コトバ)へと即興的につないでいくのは舞台経験で培ったアーティストの五感と身体とアタマです。ひとつのオノマトペからイメージがふくらんで予想外にどんどん紡ぎ出されていく不思議でおかしな世界を、赤ちゃんから大人まで春のピクニックのようにいっしょに楽しみました。

ノンバーバル(非言語)コミュニケーションやハプニングに対する即興力は、ダンスや音楽の世界はもちろん育児でも常に要求されることですね。ちいさな子どもにはコトバで通じないことも多く、大人がコミュニケーションに疲れてしまう場面も多々あります。けれども大人の方が少しリラックスしてアタマとカラダを柔らかくすると、子どもたちも不思議と笑顔に変わっていきます。少しくらいの失敗はどんどん笑いに変えてしまう。時には子どものデタラメ言葉をリズムに乗せて、いっしょに歌ってみる、踊ってみる。赤ちゃんと大人が笑顔でつながる「魔法のコトバ」がたくさん書かれているのがオノマトペ絵本の醍醐味です。そしてそれは音楽やダンスととっても近い感覚です。


【2015年4月2日相模女子大学グリーンホール・多目的ホール】

「空耳図書館カラダで読書~ハッピーバースデー!アンデルセン!」(小学生向けダンスワークショップ)を開催しました。カラダで読書っていったい何でしょう? この日はちょうど210回目のアンデルセンのお誕生日でした。貧しい靴職人のこどもとして生まれ、大都会でのバレエダンサーやオペラ歌手を目指して14歳でひとり家を出たアンデルセンの生涯は失敗や挫折の連続、そして助けてくれる人たち、素敵な旅との出会いにも満ちていました。劇場を愛してやまなかったアンデルセン。舞台で有名になる夢はかなわなかったけど、世界的に愛される彼の作品は劇場や旅の経験とも強く結びついています。

この日は初めにロビー(日常)でアンデルセンについて少し学んだあと、橋本知久さんに導かれて子どもたちは劇場内(非日常)へと入っていきました。そしてまず「観客」になって外山晴菜さんのダンスと橋本さんの生演奏による「赤い靴」のデモンストレーションを鑑賞。ここでふたりが演じたのは、アンデルセンの物語に潜む大切な「怖さ」でした。踊り続けて足を切られる「赤い靴」の少女も実はアンデルセン自身ではないか。彼が子どもの頃に教会の洗礼式に履いていってしまった「音の鳴る靴」のエピソードから生まれたお話ではないかと考えました。それは彼にとって’失敗’の記憶だったからです。子どもたちは予想外のはじまりにびっくりしていたけれど、その「びっくり」こそが舞台芸術の入り口でもあり、私たちが体験して欲しいと願った感覚です。そして少女(外山)とアンデルセン(橋本)を照らす「舞台照明」には人生の「光と影」も暗示されていました。

ちょっと不思議で怖い「赤い靴」を鑑賞した後は、今度は全員でステージに上がって「観客」から「出演者」の視点に移ります。この日の参加者は午前・午後ともに全員がコンテンポラリー・ダンス初体験。アンデルセンの物語をモチーフにした外山さんのファシリテーションと橋本さんの素敵な生演奏に導かれて、これもダンス?あれもダンス?な、学校では教えてくれはないカラダとアタマの使い方を思いっきり楽しみました。汗だくになって笑ってカラダを動かすと、ココロまで軽くなるから不思議ですね。最後には「また参加したい!」と皆さん感想を述べてくれました。これをきっかけに、アンデルセンや彼の物語はもちろん、舞台芸術や劇場の魅力にも興味をもってくれたらうれしいです。

(C)2015芸術教育デザイン室CONNECT/コネクト 写真の無断転載を禁じます。

〇ファシリテーター

 外山晴菜さん(ダンサー・振付家)

 橋本知久さん(音楽家)


〇空耳図書館ディレクター  ササマユウコ(コネクト代表)

〇主催 芸術教育デザイン室CONNECT/コネクト


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