「空耳図書館」に年齢制限はありません。

「よくきく」を合言葉に、
子どもから大人まで、アーティストといっしょに、
五感や身体やこころを使って本の世界を自由にあそぶ、
ちょっと不思議な読書会です。

 

            空耳図書館ディレクター:ササマユウコ


空耳質問箱♪

・空耳図書館はどこにあるのですか?

架空の図書館ですので建物は存在しません。忘れた頃にまちに出現しますから「どこにでもあります」とも言えます。本の貸出しはしていませんが、返却不要の時間をおとどけします。

・「空耳」にはどんな意味があるの?

例えば「クモの糸が切れる音」や「花がひらく音」をきいたことがありますか?その音は、どうやったらきくことができるのでしょう? 「本」の世界を旅することで、きこえない音をきいたり、見えないものの声をきいたりする「想像する耳」が生まれる瞬間を「ソラミミ」と呼んでいます。そして「なぜ?」「どうして?」と考える時間を「図書館」でつくります。

・絵本の読書会なのですか?
絵本だけとは限りません。「この本おもしろいな、みんなと楽しんでみたいな」と思ったらどんな「本」でも扱います。

・子ども対象なのですか?

子どもの心を持った大人、おとなの世界を知りたい子ども、すべてのひとを対象にしています。

・なぜ「きく」なのですか?

「きく」は聴覚だけの感覚ではありません。羊水に包まれた胎児が全身で自分と母の心臓の音を「きく」ように世界を感じることは、音のある|ない、言語|非言語さまざまな世界をつなぐ大切な感覚だと考えています。

 例えば音楽教育でもいきなり音を出すのではなく、まず「きく」ことから始めると全く違う世界に気づくことがあります。自分の内側から外側の世界までのすべてが音の風景としての「オンガク」である。これは、カナダの作曲家M.シェーファーが40年前に提唱した「サウンドスケープ」という考え方です。昔の人にはきこえていた「天体の音楽」には実は音がありませんでした。音がないのに「きこえる」って不思議ですね。一方、現代人が暮らす街には音があふれています。私たちはその音の洪水を「きいて」いるのでしょうか。
 そもそも「オンガク」って何でしょう。「きく」とは何でしょう?「耳」だけの仕事ではないということはわかりました。それでは何でしょう?空耳図書館ではここを考えてみたいと思っています。

・他者の声、世界の音に耳をひらく/耳をすます

音楽教育以外でも「きく力」を見直す動きが広がっています。特に、哲学や医療など「臨床」と呼ばれる他者(患者)と対峙する学問の世界です。もちろん普段の暮らしの中で「きく」に意識を向けると、さまざまな「変化」が生まれます。自分の考えを伝える力はもちろん大事ですが、そればかりでは「一方通行の関係性」に陥りがち。「きく」ことには自分と違う世界(ソト)を受け入れ、自分のウチを「やわらかく」広げる力、変わる力を授けてくれます。もちろん自分のウチ(心や体内・体調)を「きく」ことも忘れてはなりません。


空耳図書館のこれから

 小学校に出かけると休み時間の校内放送がテーマパークやゲームセンターのような大音量で流されて驚くことがあります。大げさではなく廊下での会話もままならないほどです。当然、休み時間明けの子どもたちは音で神経が高ぶり、落ち着くのにも時間がかかります。もともと聴覚が敏感な発達障害のお子さんは、学校の賑やかな音環境で心がヘトヘトに疲れているかもしれません。スマホやゲームで使用するイヤフォンも耳の穴に直に音を入れるのですから、鼓膜の負担は想像に難くありません。子どもも大人も、もっと静かな時間が必要です。
 音のない世界にすむ聾者の文化にも音楽があります。つまり世界には、さまざまな「きく」があるということです。「本・絵本」はひとつの入り口です。もっと広く芸術や学術が沢山の「きく」に出会えるきっかけとなるように。空耳図書館も、もっと柔らかく楽しく変わっていきたいと思います(2019)